第56回 日本油化学会年会

2017年9月11日~13日

ガラクトシルセラミドを主成分とする天然セラミドが表皮バリア機能に及ぼす影響

(ロゼット株式会社1・同志社大2)○五十嵐多美1・市橋正光2・八木政幸1

Sphingolipid plays an essential role in the maintenance and formation of the skin barrier function and water-retention. Horse-derived ceramide (HC) whose main component is galactosylceramide, increased ceramide levels and decreased trans-epidermal water loss in human epidermal cultured skin models. And HC also changed mRNA expression level of ceramide metabolism related genes in the human keratinocytes.

1. 緒言
セラミドや糖スフィンゴ脂質に代表されるスフィンゴ脂質は表皮の保湿機能やバリア機能に重要な役割を持つことが知られている。糖スフィンゴ脂質の一種であるガラクトシルセラミドを主成分とする馬セラミド(HC)は、配合製剤のアトピー性皮膚炎患者を対象とした使用試験により肌状態や保湿力の改善効果が確認されているが[1]、そのメカニズムに関する研究は少ない。そこで我々はヒト表皮角化細胞(NHEKs)と培養ヒト3次元表皮モデル(RHEEs)を対象として、馬セラミドが表皮バリア機能に与える効果とそのメカニズムを明らかにすることを目的として試験を行った。

2. 実験
NHEKsをHC添加・未添加条件下で培養し、48時間培養しmRNA量を定量した。また角層未成熟タイプのRHEEsをHC添加・未添加条件で培養し、水分蒸散量(TEWL)とセラミド量を測定した。

3. 結果と考察
ヒト角化細胞への馬セラミドの添加によってβグルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、スフィンゴミエリン合成酵素-2、セラミド合成酵素-3、ジヒドロセラミド不飽和化酵素-1、トランスグルタミナーゼ、プロフィラグリンのmRNA量が未添加対照と比較して有意に増加した。また、角層未成熟タイプのRHEEsへの馬セラミドの塗布では、TEWLが未塗布対照と比較して有意に減少すること、RHEEs中のセラミド量が有意に増加することが確認された。以上の結果から、馬セラミドの皮膚塗布は、角層細胞間脂質であるセラミドや保湿因子NMF量を増加させ、コーニファイドエンベロープの構造強化などを介して皮膚保湿機能とバリア機能向上に関与している可能性が示唆された。

4. 参考文献
[1] Bito, T., et al., Skin Research 3, 236-242 (2004)