スキンケア指導のポイントは
地道な指導と肌に合う保湿剤
野村皮膚科医院
院長 野村有子先生
子どもの頃「透明バリア、張~った!」と言って、目に見えない透明バリアを作ったつもりで、バイ菌が体に入らないように遊んだことがあります。セラミドのことが解明された今、その透明バリアがまさに現実のものとなりました。
セラミド入りのAKシリーズは、乾燥に悩む小さなお子様から高齢者まで、安心してお使いいただけます。何といっても、肌に合う保湿剤がなかなか見つからずに悩んでいるアトピー性皮膚炎の患者様にとっては、救世主ともいえます。強いかゆみや炎症がある場合は、ステロイドやタクロリムスの外用、抗ヒスタミン剤内服などで、まずきちんと炎症反応を抑えます。落ち着いてきたところで、保湿剤としてAKシリーズを試してみます。その際、患者様の前腕の一部分にセラミド入り乳液もしくはクリームを直接塗って差し上げます。そして塗っている部分と塗っていない部分を、患者様に触り比べてもらいます。塗った部分はしっとり肌が柔らかくなっていることが実感できます。「うわ~、こんなに変わるのですね!」と喜ばれることもしばしばです。効果を実感できるからこそ、継続できるのです。乳液タイプは全身広範囲に使用する人や夏に、クリームタイプは乾燥が非常に強い人や冬に使用しています。
AKシリーズの日焼け止めも好評です。日焼け予防をしながら保湿もできるので一石二鳥です。セッケンで洗い流せることも、肌の弱い患者様にとって助かります。日焼け止めは1年中使用することをお勧めしています。
セラミドで皮膚のバリア機能を回復させることで、アレルギー物質を跳ね返す力が徐々にできていること、少しずつかゆみから遠ざかっていることを、日々患者様を診察しながら感じています。アトピー性皮膚炎は、その患者様のアレルギーの原因を検索し、除去するための生活指導をきちんと行い、それと同時に適切なスキンケア指導を行うことによって、見違えるように良くなっていく疾患だと思います。地道な指導こそが、皮膚科臨床医のあるべき姿だと肝に銘じながら、これからも患者様のためにがんばっていきたいです!